宅配便の成長と運輸業の関係とは

結論を先取りすれば、宅配便は、運輸業における規制緩和、特にトラック運送業における規制緩和を実質的に促進する機能を果たしています。


なおかつ、まさに始まろうとしている規制緩和の新たな法体系の形成にも影響を与えたのです。


実際に、宅配便が成長する過程は、既存の規制の枠組みとの衝突・対立の過程でもありました。


ここでは、宅配便の成長と従来の規制との対立に焦点を当てて、分析を進めていきます。


具体的に規制との対立とは、ひとつには運賃規制をめぐってのものであり、ふたつには参入規制をめぐってのものです。


こうした対立の具体的プロセスを明らかにすることによって、実際のスペースコレクション配達・運輸業の展開のなかで宅配便がいかに規制緩和を促進していったのかが解明されます。

スペースコレクション宅配便と規制緩和

「規制緩和」は、現代経済の方向を示す重要なキーワードになっています。


規制緩和の流れは、主要先進諸国を中心とした世界的潮流であり、日本においても大きな課題として積極的な取り組みがなされています。


日本における規制緩和の重要な対象部門として、運輸産業があることは周知の事実でしょう。


もともと運輸産業はいわゆる「公益事業」として位置づけられ、政府による規制の典型的な部門を形成していました。


しかしながら、最近において、いわゆる「物流ニ法」なる新たな法律が成立し、運輸業における大幅な規制緩和が実現されようとしています。


わたしがここで分析の対象としているのは、こうしたスペースコレクション配達・運輸業の規制緩和と宅配便の関係です。


一見すると、トラック運送業の一部門である宅配便の成長と運輸業の規制緩和とはさほど関係ないように思えます。


しかし、実は両者は密接な関係を持っているのです。


輸送と流通の新たな関係

無店舗販売におけるスペースコレクション宅配便と流通業との関わりを見てみると、そこに輸送と流通の新たな関係が形成されていることが明らかになってくる。

今までは、輸送の発生はいわゆる派生需要として、生産者なり流通業者の商品の販売に伴なって、それに対応する受動的な存在であった。

例えば、荷主が物流の合理化を指向した場合に、あくまで主体はメーカーなり流通業者の荷主であり、舳トラック業者は荷主の物流に応じて受身的に輸送システムを構築していたのです。

基本的に輸送業者と荷主の関係はこのようなものであった。

しかし、無店舗販売で現実に生じている関係は、こうした今までの範躊には入らないものです。

スペースコレクション宅配便という卓越した輸送「商品」が提供されており、その存在を前提として新たな販売形態が成長しているのです。

しかもこの輸送「商品」は、たんに輸送サービス水準が優れているだけでなく、問屋機能や商品受発注機能といった周辺的な業務、しかもそれは無店舗販売を展開するうえで必要不可欠な機能も輸送サービスのなかに融合化しているのです。

これはスペースコレクション宅配便が技術革新を積極的に取り入れて、その応用によって複合的機能の展開が可能なのであるが、かかる卓越した輸送サービスの存在を前提にして、初めて無店舗販売の成長がもたらされているのです。

端的に言えば、先ず新しい輸送サービスが提供されており、それを前提とし、それを重要な構成要素として新しい商品の流通形態が生じているのです。

すなわち、決定的に異なる点は、先ず最初に優れた輸送サービスありきなのです。

こうした意味では、輸送と流通の関係が変化しているといえるのです。

スペースコレクション宅配と流通業の競争激化

無店舗販売の成長は、既存の流通業における競争状態をさらに一段と強め、流通業の構造的な変化を引き起こす可能性を持っています。

こうした影響とは、さしずめ二つの次元で作用しています。

まず最初に明らかにしなければならない点は、先に指摘した流通チャネル短縮に伴なう影響です。

通信販売の成長、産直の興隆、書籍宅配の試みは、既存の卸売業や小売業を経由しない商品の販売が拡大していることを意味します。

従って、無店舗販売の成長はこれらの既存流通業の既得権益を犯すものとなります。

しかも、無店舗販売はスペースコレクション宅配便というリーズナブルなコストの優れた輸送サービスが提供されているため、既存の販売形態により便利であり、新鮮であり、値段が安いといった有利な側面を持っています。

当然ながらこのことは、既存の流通業における競争状態をさらに一段と強化し、既存の流通業に大きな影響を及ぼすことになるのです。

さらに、無店舗販売を通した異業種による流通業への参入が積極的に行われていることの影響です。

無店舗販売は既存の流通業だけでなく、メーカーやテレビ・新聞の媒体などさまざまな業種が参入しています。

無店舗販売という事業の性格から参入が比較的容易であり、何らかの関連を持った異業種の進出が盛んに行われています。

こうして今まで流通業に直接関係していない企業でも比較的容易に事業展開できるのであって、この面からも既存の流通業は激しい競争に置かれていることになる。

そして、こうした異業種による参入の最たるものが、スペースコレクション宅配便を展開しているトラック企業自身による無店舗販売の展開です。

これはスペースコレクション宅配便企業にとっても全く新しい試みであるが、本来強力な物流機能を基盤として持っているトラック業者が無店舗販売に進出することは、小売業に新たな競争激化をもたらしています。

周知のようにわが国の流通業は、卸売業にしろ小売業にしろ、零細中小規模の事業所が群生する構造となっています。

しかし最近において小売業では、商店数の減少傾向がはっきりと現れており、後継者難や地価高騰などの要因が重なり合って大きな構造的変化が生じています。

こうした状態のなかで、無店舗販売の成長は、わが国流通業の構造的変化をさらに加速する働きをし、なおかつ新たな流通業の構造を形成する一つの契機となることは否定できないでしょう。

書籍の流通

書籍の流通は、出版社→販売会社→書店→読者という流通チャネルを形成していました。

これに対してスペースコレクション宅配便のトラック企業が主体に展開する書籍宅配は、出版社→読者という極めて短絡化された流通チャネルの形成が可能となっています。

'こうした無店舗販売による流通経路の短縮は、とりわけ既存の流通に不合理が存在している場合に成立しています。

農産物の場合、産直の対象となる地域の特産品は、生産規模も大きくなく、従来の卸売市場経由の大量流通には適していませんでした。

また無農薬・低農薬、有機栽培の野菜果実などは、少量の「特殊」な農産物であるため、従来の卸売市場経由の大量流通の形態になじまない。

従来の画一化された流通ルートには生産規模が小さく特殊な農産品は乗らないという不合理が存在しています。

また、書籍宅配は注文から納品まで著しく'時間がかかる本の流通における不合理が存在していました。

要するに、無店舗販売は流通過程における不合理の間隙をぬって発生しており、かかる意味でスペースコレクション宅配便は流通過程における不合理を是正する機能を果たしているといえます。

スペースコレクション宅配と流通チャネル

無店舗販売の成長は、流通という側面から見れば、新しい流通チャネルの確立を意味しています。

しかもそれは、流通チャネルが従来のものに比べて大幅に短縮化されたものとなっています。

無店舗販売のなかでも、こうした特徴が端的に示されるのは、農産物や水産物・それらの加工品の産直であり、さらに書籍宅配です。

まず農産物の場合を見てみましょう。

従来の農産物の流通は、生産者→農協→卸売市場→小売店→消費者という流通チャネルを経過してきました。

これに対して産直は、途中の流通経路を大幅に短縮し、最も単純なものは生産者→消費者に短絡化されています。

このため、産直は卸売市場を通さない、いわゆる「市場外流通」の一端を形成しているのです。

例えばスペースコレクション宅配便の産直便によって一躍有名になった夕張メロンの場合には、無店舗販売による市場外流通が全体の40%を超えているといわれている。

もともと、北海道内に消費が限定されていた夕張メロンが、スペースコレクション宅配便によって全国展開をとることになり、これとともに市場外流通のウエイトが大きくなった。

これはスペースコレクション宅配便によって新たな販売可能性が開け、なおかっ流通チャネルが短縮化された典型的な事例となっています。

また書籍宅配の場合にも、先に見たように形態はいろいろとあるが、そのなかで典型的なものは従来の流通チャネルを短縮しています。

販売可能性の創出

「一村一品運動」や「ふるさと会員制度」による産直に典型的に見られるように、スペースコレクション宅配便は新たな販売の可能性を創出した。

これは宅配便の固有な輸送サービスの提供と密接な関係を有しています。

従来の農産物およびその加工品の販売には、一定の生産規模・販売規模を備えていることが必要であった。

まさに大量生産・大量販売のための産地形成が行われてきたのです。

ところが、「一村一品運動」や「ふるさと会員制度」によって繰り広げられているものは、まさにこれと逆行するものです。

すなわち、従来の農産物およびその加工品の販売ルートには乗らずに地方に埋もれている農産品、換言すれば、産地を形成していない農村地域の量的に少ない特産品を、全国に向けて販売しようとするものです。

これを可能にしたのが、従来の流通機構を通さなくても、少量の貨物を全国に販売できる輸送システムのスペースコレクション宅配便であった。

宅配便という、少量品を比較的低コストで全国のいたる所に運べる輸送システムが提供されることによって、産地が形成されず過疎に悩む農村の特産品が初めて販売可能になったのです。

これによって従来とは異なった別の「産地」が形成される可能性が開けてきた。

かかる意味で宅配便は、従来では不可能な地域に新たな販売機会を提供したのです。

今後、こうした全国的に行われている産直が軌道に乗り地域活性化の起爆剤となるのかどうかは、商品の企画開発や運営といった産直の主体の問題が残されており、その評価を下すにはまだ時間的な経過を見る必要があります。

しかしながら、スペースコレクション宅配便が従来では不可能な地域に新たな販売の可能性を与えたことは、充分に評価する必要があります。

スペースコレクション宅配便が流通に与える影響

従来の生鮮品の保冷では、発泡スチロールと蓄冷剤によるものであったが、これでは特に夏場の輸送の品質保持に不安が残っていた。

しかも従来の保冷車を使った配送では輸送コストがかかり、その配送地域を一部の地域に限定せざるを得なかった。

このため百貨店では、生鮮品のギフトは地域を限定する慎重な姿勢を示していました。

しかし、これがクール宅配便を利用することによって、生鮮食料品のギフトを大幅に拡大していくことが可能となった。

技術的な側面では、保冷車を使った輸送であり、ターミナルにも冷蔵庫を備えているために、不在で持ち帰りの際にも対応することができ、これによって生鮮食料品の鮮度維持が可能となったのです。

さらにこれとともに、従来地域的に限定されていた配送もスペースコレクション保冷宅配システムが形成されることによって、全国的展開が可能となった。

このようにして保冷宅配は、デパートによる産直の生鮮食料品の販売を促進しているのです。


以上のように、スペースコレクション宅配便という高度な輸送サービスは、新しい販売形態としての無店舗販売の広範囲な普及とその成長を可能にさせる重要な要素となっています。

そして、こうしたスペースコレクション宅配便の機能は、無店舗販売の成長を通して流通業を中心として新しい諸関係を形成しており、今までに見られなかった新たな事態を招来させています。

保冷宅配

さらに保冷宅配の開発があります。

すでに述べたように、産直の生鮮食料品の鮮度維持には、スペースコレクション宅配便の輸送スピードが大きく貢献してきたが、さらにスペースコレクション宅配便は輸送途上における温度管理を行い鮮度維持を一段と徹底化した輸送サービスを提供しています。

これがいわゆる「クール宅配便」です。

生鮮食料品の輸送には、鮮度を維持するために低温輸送が必要となります。

実際に、産地から卸売市場への輸送には大型の冷凍車や保冷車が使われています。

しかしこれは、あくまで決められた一定区間を大量輸送するものです。

ところが、産直において要求されている低温輸送の形態はこれと全く異なる。

すなわち、少量の貨物を異なる多数の着荷主に低温で運ぶ輸送システムです。

それは今までになかった新たな輸送形態であり、これを可能にしたのがクール宅配便です。

クール宅配便を実施するためには、集荷・発ターミナルの仕分け・幹線輸送・着ターミナルの仕分け・配送から構成される路線トラック輸送の各部面で温度管理をする必要があります。

このため、スペースコレクション宅配便企業は、たんに幹線輸送の大型トラックだけでなく集配専用のトラックにも冷蔵庫を搭載するとともに、ターミナルでも冷蔵庫を設置して温度管理の徹底をはかった輸送システムを構築しています。

スペースコレクション保冷宅配は、スペースコレクション宅配便最大手のヤマト運輸が「クール宅急便」のネーミングで63年7月から全国展開を開始した。

さらに日本通運も「クールペリカン便」として翌年64年4月から保冷宅配便を全国展開しています。

保冷宅配便の最大のポイントは温度管理帯の設定であるが、これがそれぞれ異なっています。

ヤマト運輸のtrクール宅急便」は、冷蔵(5度C)、氷温(0度C)、冷凍(-18度C)に3温度帯を設定しているのに対して、日本通運の保冷宅配便である「クールペリカン便」は、チルド(-5度C~0度C)、冷蔵(0度C~5度C)の2温度管理となっています。

例えば、メロン、桃などの果物や蒲鉾などの加工品は冷蔵カニ、エビ、アワビ、生肉などは氷温ないしチルドというように、食品の種類によって利用する温度帯が異なり、きめ細かな温度管理のもとに輸送が行われているのである(22)。

百貨店等の中元・歳暮の配送にもクール宅配便が利用されており、これが大きく拡大する傾向を見せています。

スペースコレクション宅配の商品受発注システム

また、商品受発注システムがあります。

通信販売で取り扱う商品のアイテム数はかなりの数にのぼる。

先の日本通信販売協会の調査によれば、取扱アイテム数の平均は兼業会社で3110、専業会社で6160に及びます。

大規模な通信販売業者になると、商品アイテム数が1万を超える場合もある。

こうした商品群に全国の消費者から注文が集中するために、その受注、商品の発注、さらに配送のために膨大な事務作業量が発生する。

こうした状況に応じて、大手の通信販売業者のなかには自ら情報システムを積極的に導入しているところもある。

こうした大手の通信販売業者は、大型コンピュータの導入によって商品の受発注から商品の在庫管理さらに発送まで一元的な管理を行っています。

しかし、このような積極的な情報システム化は資本力のある大手企業に限られるのであって、通信販売の多くを占める中小規模の企業に関しては、こうした形での作業の効率化には大きな制約があります。

そこで、スペースコレクション宅配便のトラック企業は、たんに通信販売の商品を運ぶだけでなく、それ以前の段階の商品受注に伴う事務作業も代行して処理するサこ・ビスを提供しています。

すでに明らかにしたように、スペースコレクション宅配便企業は貨物追跡システムに見られるように独自の情報システムを構築しており、一般荷主向けにVANサービスを展開しています。

こうした情報システムを利用したサービスは、通信販売の商品発注に伴う事務作業にも提供されているのです。

これによって、情報システム化が困難な中小の通信販売企業を中心として、事務作業の効率化がはかられています。

こうしてスペースコレクション宅配便のトラック企業はより積極的に無店舗販売を支援しているのです。

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